家の建て替えVSリフォーム!比較すべき条件やメリットデメリット

新築から数十年経った我が家。木造の家は30年が寿命って聞くけど・・・

・中途半端にお金をかけてリフォームするなら建て替えたほうが良いのか?

・建て替えとフルリフォームはどのくらいかかる費用に差がある?

住んでる家が古くなると誰もが修繕や建て替えについて一度は考えるのではないでしょうか?

ですが、建て替えとリフォームのどちらにすべきか、なかなか判断が難しいですよね。

そこでこの記事では、建て替えとリフォームのメリット、デメリットを整理し、建て替えに向くケース、リフォームに向くケースを整理してみました。

1.建て替えとリフォーム、リノベーションの意味や違いとは?

1-1.建て替えの意味とは

建て替えとは既存の建物を解体撤去後、更地にして基礎や柱も新たに一から作り変える事をいい、建築確認申請の取得が必要であるものをいいます。

1-2.リフォームの意味とは

一方リフォームとは一般的に劣化、毀損した台所や風呂等の建物一部を修繕、または取り壊し、新たに局所的に作り変える事をいい、増築したり構造部分に影響を及ぼす様な工事がなければ、原則的に建築確認を必要としないものです。

1-3.リノベーションの意味とは?

最近よく耳にする様になったリノベーションとは、すべてを取り壊す建て替えとは異なり、基礎や柱など基本構造部分や外装を残し、間取りの変更なども含んだ、建物に機能的な変化を施す改修工事の事をいいます。

またフルリノベーションというと外壁も壊し、基礎や柱などを残し、見た目には新築同様に作り直す様な大規模な改修工事の事をいいます。

2.木造住宅の寿命とは?

2-1.木造住宅の寿命は30年?

木造住宅の寿命は30年って聞いたことありませんか?

この30年という年数、必ずしも建物の寿命とは言えません。

総務省のが公表している「滅失住宅の平均築後年数の国際比較」のデータ(表1)で、日本の平均築後年数が32年であることや、木造住宅の税務上の法定耐用年数が22年であることが、一般的に木造住宅の寿命が30年と言われてきた事と因果関係があるようです。

表1:(資料)総務省「平成20年、平成25年住宅・土地統計調査」
(データ:2008年、2013年)

また大手ハウスメーカーで組織する住団連でも「建て替えにおける従前住宅の平均築年数の推移」(表2)の中で、平成16年度では建て替え時の従前住宅の平均築年数が36.8年というデータが公表されています。

表2:(引用)
一般社団法人 住宅生産団体連合会 2016年度戸建注文住宅の顧客実態調査

2-2.建物寿命は延びている

他にも総務省が公表している既存住宅の流通シェアを国際比較をしたデータ(表3)では、欧米諸国では日本より中古住宅の流通が活発な事が読み取れます。

一方、日本では流通シェアの80%以上が新築であり、新築至上主義的な傾向が顕著です。これは戦後、日本の住宅不足が深刻で耐久性の低い住宅が大量に供給された時代背景が影響していると考えられています。

つまり、建物が壊された平均年数はあくまでも壊された年数を基準としたもので、時代背景との関係も深く、一概に建物の寿命とは言えません。また近年に建てられた建物は、従来の建物と比べ、耐震性の法律基準やや耐久性の技術も向上している為、建物寿命は従来より延びていると言えます。

表3:(資料)総務省
「平成25年住宅・土地統計調査」国土交通省「住宅着工統計(平成26年計)」

3.客観的な過去のリフォームデータを参考にする

では住宅の平均築後年数が30年というのは一つの目安として、実際にはどのように建て替えとリフォームを判断したら良いのでしょうか?下記のデータをご覧ください。

表4:(資料)
「住宅市場動向調査」(国土交通省)において、リフォーム実施者の複数回答

表4は国土交通省が公表しているリフォーム内容の調査データですが、この資料で注目するべきことは半数以上は局部的な工事である事と5%~10%が高齢者身体障害者に対応させる工事や構造に関する改善工事であることです。

3-1.耐震性の向上やバリアフリー工事は少ない

リフォーム工事の大半は部分工事であることは言うまでもありません。悩みどころは局部的には修繕しにくい、耐震性高める工事やバリアフリー工事です。躯体の構造部分がからみやすく費用が高額になため、建て替えを選択するケースが多いのが実情です。

3-2.リフォームしか選択できないケースもある

また資料からは読み取りにくいのですが、接道などの問題で建て替える事ができずにやむを得ずリフォームを選択しているケースも含まれている事です。その様な事情も含んで考えると、建て替える事が可能なケースで、躯体構造がからむ様な高額なリフォームを選択している人は少数派といえるでしょう。

4.建て替えとリフォームのメリット、デメリットを比較する

コスト面で単純比較したいところですが、リフォームや建て替えは、その内容により大きな差を生むため一概にコストで比較することが難しく、実際に見積もりをとるしかありません。ここでは、建て替えとリフォームのメリットやデメリットをご紹介し、自身の実情に合わせて総合的な検討をする事をおすすめします。

4-1 .建て替えのメリット

・地盤補強から対応することが出来る
・間取りや企画プランに自由度が高く、一から作り込めるため、家族構成に合わせて住みやすさを追求する事ができる。
・最新の法律基準や、最新設備を導入でき、耐久性や機能性の充実を確保できる。
・ローンを組む場合、リフォームより有利な融資条件を引き出しやすい。

4-2 .建て替えのデメリット

・住み慣れた家を壊さなければならず、また解体費用がかかる。
・建築費がリフォームと比べて高額になる。
・工事期間が長く、仮住まいや引越しが必要となり負担である。
・リフォームより各種の税金負担が重い。

4-3 .建て替えが向く人の条件

・白アリが食われていて、被害をくいとめにくい。
・家が傾いていて地盤や基礎に抜本的な対策が必要である。
・雨漏り等による腐食で、構造体力上に影響がある部分に対策が必要である。
・リフォームで多額の費用が掛かるとき

4-4 .リフォームやリノベーションのメリット

・仮住まいや引っ越しができない事情がある場合は住みながらの工事が可能。
・建て替えと比較して工事期間が短く、仮住まいや引越しが不要な場合もある。
・諸費用も含めた総予算が建替えと比較して低額で済む。
・建て替えよりかかる税金が少ない。
・予算に合わせて局所的に作り変える事が可能。

4-5 .リフォームやリノベーションのデメリット

・建て替えに比べ、家族構成にマッチした間取り変更や住宅設備に制限があり自由度が少ない。
・耐久性や耐震性を根本的に改善する場合はコストが高くつきやすい。
・基礎、柱、梁などの構造体力上、主要な部分を変えない場合、家の強度に不安が残る。

4-6 .リフォームやリノベーションに向いている人の条件

・愛着があり住み慣れている等の理由で建物を壊したくない場合。
・狭小地でセットバック後に十分な建築面積を確保できない。
・構造部分や雨漏りでの腐食などで、致命的な問題がない。
・接道状況で再建築できない場合や、建築確認に制限がある場合。
・仮住まいや引っ越しができない事情がある場合。

5.建て替えとリフォームのメリットデメリットを整理

5.建て替えとリフォームのメリットデメリットを整理
建て替えリフォーム
メリット・地盤補強から対応可
・間取りや企画プランに自由度が高い
・リフォームよりローンが有利
・最新設備や耐久性を確保できる
・住みながらの工事が可能
・工事期間が短い
・仮住まいや引越し不要な場合あり
・総予算は建替えより低額
・建て替えより税金負担軽い
・予算に合わせて部分工事可能
デメリット・住み慣れた家を解体、費用かかる
・リフォームより費用高額
・工事期間が長い
・仮住まいや引越しが必要
・リフォームより税金負担が重い
・間取りや住宅設備に自由度が低い
・耐久性、耐震性改善はコスト高い
・家の強度に不安が残りやすい
こんな人が向く・白アリの被害をくいとめにくい
・地盤に抜本的な対策が必要
・建物の構造体力上に対策が必要
・リフォームで多額の費用が掛かる
・建物を壊せない事情がある
・十分な建築面積を確保できない
・建物に致命的な問題がない
・建築確認に制限がある
・仮住まいや引っ越しができない

6.まとめ

如何でしたでしょうか?
建て替えとリフォーム比較をコストで単純に比較することは難しいため、

1.建物の寿命は、建築時期や構造などを含め様々なので、一概に30年とはいえない。
2.客観的な過去のリフォームデータを参考にする。
3.建て替えとリフォームのメリットデメリットを比較する。

以上の3点を参考に検討してみてください。

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